2012年6月7日木曜日

生活保護をめぐる問題について

自分のTwitterで思うところを呟いたものを下記リンクにまとめました。
【生活保護問題 - 河本氏に関する意見】まとめ@tgetter


数年前から生活保護に関しては、役所による受給申請拒否や路上生活者支援に始まり、今日では不正受給者問題も浮上し、国会で保護費削減が検討されるなど様々な局面が問題になっている。

人気芸人 河本準一氏の母親が保護受給者であったことから、河本氏の援助に関する問題が不正受給問題へと今、テレビやネットで大きく取り上げられている。
しかし、それ以前から私が問題視してきた事がある。


路上生活者が急増し、ネットカフェ難民という言葉も出るほど、生活保護受給に関わる問題は様々だ。
元々、法律上で家族・親族は相互扶助が義務づけられている。
相互扶助とは、生命保険、国民健康保険等の仕組みでもあるように、自分が困った時の備えに保険料を払い、それを困っている人に分配し、互いに助け合うというものだ。
家族・親族に於いては、互いに助けられるものをそれぞれが出し合い、生活をしなければいけない。
それは、金銭的なものだけでなく、たとえば家事を手伝う、知恵を出し合ってお互いを助ける、また健康状態が悪ければ、健康な者が病院に連れて行くことや、犯罪被害に遭遇した場合に相談し合うようなことも含まれている。
要するに、金銭、物資だけでなく生きることに必要な問題を互いに助け合いなさいという事だ。

故に、親子関係者だけでなく、兄弟、姉妹、祖父母も同居、別居に関わらず、親族はみな助け合って生きなければいけない。


しかし、孤立無援社会や核家族化が進む中で、同居家族もまた自分一人が生きるのに精一杯と云った実情は溢れるばかりなのが現実ではないだろうか。
そうした背景に、路上生活者が世の中に増える原因がある。
自分の家族が、いま、どこで、どうやって、生きているのか、死んでいるのかすら知ろうとも、知らせようともしない、また出来ない社会状況がある。

本来、家族がある日突然、音信不通になったら 『心配』 をするのが当たり前だろう。
しかし、今はうっかり心配をして捜索願を出そうものなら、多重債務から逃れるために社会から消えた振りをしていたのに、警察によって発見され、悪徳な取立て者に追われてしまうような問題があったりして、家族全員の生存権すら危うくなりかねないといったケースも少なくはない。

また、単身赴任で勤めていた会社からある日突然解雇され、離れて暮らす家族に言うに言えない問題から路上生活に至った人も沢山居る。

そして、家族と協調できず、自ら孤立を選んだり、家族から見放されたりした人も多く、職を転々とし、失った人も居る。

そうした人々があまりに多く、公園や高架下などの公共の場を生活拠点にし、自治体から追放され、行き場を失う問題が起こり、援助団体が立ち上がった。
しかし、その援助団体の中にも悪質な団体があり、居住地を提供する変わりに、生活保護費を全額徴収・管理し、こづかい程度の現金しか渡さず、劣悪な環境に体裁よく軟禁しているような状況もある。


生活保護は、まず、申請時に失業または疾病などによって働けない実態が示めされることが前提条件であり、その申請しようとする管轄区域に住民登録がされていなければならない。
住む家がなければ、申請すら出来ず、その住まいの家賃なども細かく条件化されている。

生活保護法の具体的内容は、その職に就いている人でなければ公開されず、暗黙の処理が多数存在している。
そこに詳しい人が支援団体を立ち上げ、真面目に助けようと支援活動を行っている。
生活保護ビジネスという言葉がある現在、それは分野が多方面に拡がっている。
行き倒れる前に助けようという支援団体
受給できる裏技と銘打つ書籍著作者
援護しようとする弁護士
受給者が得た、金銭、処方薬から利益を上げる裏社会
受給者を自立させる糸口のための社会活動の舞台を提供する会社
ワークグループ
挙げればキリがない程、この世には生活保護者に関わるビジネスが、表裏一体で存在する。



本当に自力で生きられないほどの理由に直面し、生活に困窮している人は何%いるのだろう。
それを援助出来ないという、生活保護を受給している人たちの家族・親族は何%いるのだろう。
これらを事実明白に世間に公表しようとか、統計を採ろうというのは不可能だ。
むしろ、それらの問題に群がるかのような社会の実態を調査し、円グラフに表面化する方が、まだ簡単なのではないだろうか?
社会福祉事務所のケースワーカーが、浮上する問題点を箇条書きでまとめ、生活の実態調査を現に受給している生活保護者からアンケートで回答して貰えば、ある程度の実態の統計が具体的に調査できる。

何故、国や各自治体はそれらの統計を具体的に計ろうとしないのだろう。
そして、メディアを通じて、国民に公表しようと試みないのだろうか。
ある市長や一部の国会議員の意見を、何秒間かのインタヴュー映像で公開したり、ネット上で公開しても何も真実は見えてこない。
聞こえ、見えるのは、断片的な一部分でしかない事に翻弄され振り回されてはいけない。



人それぞれに、生活観や価値観、家族問題を何かしら抱えているのだ。




最後に扶養義務に対して、ある成人女性に問題点を的を絞って、一つ問題定義したい。

彼女は幼く物心も着かない頃に両親は離婚し、父親に引き取られた。
父親は、毎日パチンコや競馬などギャンブルに興じ、アルコール依存症のため朝から晩まで酒を飲んでいた。
父親はアルコール依存を治療するために精神科に通院しながらも、時々お呼びのかかる日雇いの仕事をしていたが、生活費のほとんどを酒代とギャンブルに使ってしまい、娘の学校費や給食費は滞納していた。
彼女が小学校に上がった頃から、父親から性的暴力の被害に度々遭う様になった。
彼女は、酒を飲んで、気に入らない事を言えば暴力を振るわれ、性的暴行を誰かに話せば殺すと脅されて育ったため、誰にも相談できず、18歳まで過ごした。
高校卒業と同時に、父親には内緒で寮付きの会社へ就職し、家を出た。
それ以来、父親とは音信不通となり、疎遠関係になった。
職場で知り合った人と結婚をし、一児の母親にもなった彼女の所へ、見知らぬ住所の福祉事務所から戸籍を辿り、父親が生活保護を受けるようになったので援助を求める通知書が届いた。


さて、このようなケースの場合、あなたならどうしますか?
父親は、ネグレクト、身体的虐待、性的虐待、精神的虐待を与え、親権者としての義務を果たして来ていません。
父親の兄弟は、元々疎遠だった上に勘当され出て行った人間の面倒を見る気はないし、本人も関わりあいたくないと拒否している状態です。
そのような経緯があって、一親等である娘さんに扶養義務として連絡が来ました。

このような立場の人であっても、絶対的に扶養義務を断固として、『義務がある』 と強要しますか?
考えてみて下さい。


※注意:これは一つの実態に基づく仮説として、例を挙げたものですので、個人を特定するものではありません。また、私個人の体験によるものでもありませんので、誤解しないで下さい。

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